キュートアグレッション

 

僕の実家では猫を飼ってる。

喉が渇くと洗面台に登って水を要求するし、名前を呼んだら返事をするし、半外飼いみたいな感じだったので雀を狩ったら玄関の前まで満足気に持ってくる。賢い。

最後のは本当はちょっとだけやめて欲しい。

玄関開けたら雀の亡骸はウッてなる。サトウのごはんでも多分びっくりするのに。

 

猫飼ってる人ならわかると思うけど、かわいすぎて時々捻り潰したくなる。実行には絶対に移さないけど。

いきなり何を物騒なことをって思うかもしれないけど、これは決して僕がサイコパスっていうわけじゃなくて

「キュートアグレッション(かわいいものへの攻撃性)」というれっきとした心理衝動らしい。

可愛いものを見た時、食べたくなったり、つねったりしたくなる衝動。 

原因としては、可愛いものを見た時に分泌されるドーパミンは、攻撃的になるときにも分泌されるようで、それを勘違いして発生するらしい。

 

檸檬」でお馴染みの梶井基次郎も著書の「愛撫」で

私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやってみたくて堪たまらなかった。これは残酷な空想だろうか?
 否。まったく猫の耳の持っている一種不可思議な示唆力によるのである。

と記してた。

おそらくこれもキュートアグレッションだと思う。

キュートアグレッションの存在を知る前は、この小説で、自分だけが持つ異常な感覚じゃないってことを知れただけでありがたかった。

だってめちゃくちゃ怖い。自分の好きなものを壊したくなる欲求なんてバグかなんかやろって。

まあ原因としては実際バグなんか。

 

愛猫を自分の手で攻撃してしまう怖さと同時に、捻り潰したい欲求自体の存在が名前がつくことで肯定される安心感がやってきてなんだか心地が悪かった。

でも安心感の方がでかいのは名前がついたからかな。

原因不明の軽い病気より、病名がついて原因のわかってる重めの病気のが個人的にはマシ。

なのでネーミングは共通認識を持たせるコミュニケーションツールとしても重要だし、人間に安心を与えられるものでもあるのかなと感じた。

それこそゼミでやってる分類もネーミングかな。(ネーミングって書いてるけど、命名というか、概念とか事柄に名前をつけることのこと言ってる)

語彙を増やすことで自ずと広がるものなのかな。

 

 

 

まあ、これで猫様を合法的に捻り潰せる。()

夏に帰省するのが楽しみです。